自給自足12か月―アウトドア術

自給自足について興味があり、タイトルから本書を手に取った。内容はタイトルの通り、１年を通してどの野菜をどのように育てるか、また調理するかを具体的に解説している。どの野菜がどの季節に適しているか、そして育て方などが凡そ分かる。ただ、概略は分かるが、それぞれの品種にたいして２ページずつという構成なので、より具体的な方法などは別の解説書などの知識が必要だ。自給自足の生活の醍醐味は十分に味わえる。自給自足の科学的な意義や根拠が知りたい、という人には少し物足りないだろう。その中でも参考になる部分はある。本文中に紹介されている堆肥の作り方や、著者あとがきに出てくる「耕す人」と「耕さない人」の役割が個人単位や国単位で分かれてしまう弊害など。植物を主に生産する国がある。一方で主に消費する国がある。その場合、生産する国の土の栄養分が消費する国に移動してしまう。消費する国ではその栄養分が排泄物として河川や海に流れていく。植物の成長に必要な窒素は回収されずに流れ出てしまう。そのような科学的な内容が掘り下げてあるともっと良かった。