ゼロからわかる UML超入門 [改訂2版] (かんたんIT基礎講座)

オブジェクト図やクラス図を通して、継承やカプセル化などといったオブジェクト指向の概念を学んでいきます。作図には「astah* community」という無償UMLモデリングツールを用い、サンプルファイルも提供されています。プログラミング言語による実装例などもないので、プログラム初心者にとっても、詰まる部分はあまりないと思います。ただ、クラス図に紙面を割きすぎており、あまり一般的に用いられない図ならともかく日常的に使うはずのユースケース図やシーケンス図まで説明が簡素になっており、割愛されている図もあるのが気になりました。ほとんどクラス図しか紹介していないのにタイトルが「ゼロからわかるUML超入門」なのは、読者に不親切かなと思います。とはいえ、これは裏を返せば「説明にメリハリが付いている」とも言えます。後半ではastah*を用いて、ユースケース図の内容をロバストネス分析によってクラス図に落とし込む方法なども紹介されています。そこでは、基本フローや代替フローなどといった概念も紹介されております（11-3）。（astah*でユースケース記述が書けることへの言及がなぜ無いんだろう？と思っていたら、community版にはない機能だからでした）オブジェクト指向の講師経験が長い著者が書いているだけあって、安心感のある説明です。さすが、増刷・改訂を重ねているだけあります。オブジェクト指向やプログラミングの初心者には非常におすすめです。